イエスセット話法とは、相手に「はい」と答えやすい質問を先に投げかけて、同意を積み重ねることで、最終的にこちらの提案にも「はい」と言いやすくする心理的テクニックです。
営業や交渉といったビジネスシーンでよく使われるテクニックですが、恋愛でもイエスセット話法は効果的です。
たとえば、デートに誘うときにイエスセット話法を使うと、OKの返事をもらいやすくなります。
この記事では、この法則を恋愛に活かす方法を紹介します。
学術的な背景も解説しているので、専門的な知識もつけたい人はぜひ最後まで読んでみてくださいね。
それでは、イエスセット話法を使った心理学的テクニックを見ていきましょう!
イエスセット話法を使った恋愛テクニック

イエスセット話法を活用する場合、何度か「YES」を引き出したあとに「YES」と言ってもらいたい本題のお願いをするのがポイントです。
ここでは、YESの種類を2つに分けて解説します。
・本命のYES:最終的に「YES」と言ってほしい本題(例:デートのお誘い、LINE交換など)
・導入のYES:本題に入る前に、気軽に「YES」と答えられる小さな話題(例:共感を引き出す質問や軽い雑談)
導入のYESの適正回数と質を意識する
「導入のYES」は3〜5回程度が理想的です。
一方で、必ずしも回数が多いほど効果的とは限りません。
導入のYESを引き出すために質問攻めをすると、会話が不自然になって彼が警戒する可能性があるからです。
「はい」か「いいえ」で答えられる質問のことをクローズドクエスチョンといいます。
このクローズドクエスチョンは、連続すると圧迫感を感じたり会話が単調で不自然な流れになったりしやすいという特徴があります。
具体的な答えを促す質問であるオープンクエスチョンを適度に挟んで自然な会話の流れを意識しましょう。
また、「YESが3回もらえたからデートに誘えるはず!」とはならない点にも注意が必要です。
たとえば、あなたが異性として意識していなかった男性から以下のようなシチュエーションでデートに誘われたとして、簡単にOKを出すことができるでしょうか?

ちょっと極端な例ですが、YESを何回か引き出していてもこの流れは意味不明ですよね。
最初のYESは本題とは関係なくてもいいですが、徐々に本題に近づいてきましょう。
以下の会話は、本題のYESはありませんが、YESを引き出すためのテクニックが潜んでいます。

どの部分だかわかりましたか?
理由も合わせて全部見抜くことができた人は、イエスセット話法を完璧に使いこなせるはずです。
もしわからなかった人も大丈夫。これから覚えてチャレンジしてみてくださいね。
YESを引き出すための4つのテクニック
上記の会話に含まれていたのは、以下の4つのテクニックです。
①共通のYESを活用する
1つ目のテクニックは「共通のYESを活用する」ものです。
彼との共通点をベースにした話題で最初のYESをゲットするテクニックで、特におすすめなのは天気です。

- 今日はいつもより寒いよね
- 最近暖かくなってきたね
天気の話題は同じ地域にいれば答えが全員一致するため、YESを確実に引き出せます。
最初のYESをスムーズに取ると、一貫性の法則が働きやすくなってその後もYESをもらいやすくなります。
②バックトラッキング(おうむ返し)
2つ目のテクニックは「バックトラッキング」です。
バックトラッキングとは、相手の言葉を繰り返すテクニックです。
上記の例では、彼の「晴れた日にはサッカーをしている」という発言に対して「サッカー好きなの?」と質問しています。
彼の発言から、サッカーが好きな可能性は高いと予測できます。
それを踏まえて質問をすると、1つYESを積み重ねられます。
このとき彼は「サッカー好きだよ」と言っていて「はい」とは名言していませんが、肯定的な返事なのでYESとカウントして大丈夫です。
バックトラッキングは彼の発言を元にした質問なので、彼に「自分の話をちゃんと聞いてくれている」と感じさせて安心感を与える効果もあります。
③オープンクエスチョンを挟む
3つ目のテクニックは「オープンクエスチョンを挟む」ものです。
YESを引き出すクローズドクエスチョンを連続すると尋問のように感じられることもあります。
そのため、途中で適度にオープンクエスチョンを挟みましょう。
上記の例でいうと、「こんな晴れた日はどうやって過ごしているの?」という質問がオープンクエスチョンになります。
YESを引き出したい気持ちが先行すると「晴れてると外に出たくなるよね!」とか「暑いから結局家の中でダラダラ過ごしたくならない?」と聞きたくなります。
しかし、彼の答え次第ではこの質問はNOを引き出してしまう可能性もあります。
NOが出そうで不安なときはオープンクエスチョンを活用しましょう。
④推測してYESを引き出す
4つ目のテクニックは「推測する」です。
完全な当てずっぽうではなく、YESが返ってくる可能性が高い内容については憶測で質問してみましょう。
上記の例でいうと、彼は「趣味がサッカー」だと言っています。
もちろん大人になってからサッカーを始める人もいますが、学生時代に始めて社会人になってからも楽しんでいる人の方が多いと予想がつきます。
そんなときには憶測の質問が効果的です。
万が一ここでNOを引き出してしまっても、問題ありません。
たとえば「サッカーを始めたのは大人になってからだよ」と言われても、先述のバックトラッキング(おうむ返し)を使えば再びYESを取り戻すことができます。
「え、大人になってから始めたんだね!」とバックトラッキングを行うことで「そうなんだよ」とYESが返ってくるからです。
ここで注意したいのが、フォローしようと思って「大人になってから始めたんだね!難しいのにすごいね!」まで言ってしまうことです。
既にNOを引き出しているため、このときは一貫性の法則が働いてNOが出やすいタイミングです。
「そんなことないよ。難しくないよ」と否定的な返事が返ってくるリスクがあるのでご注意ください。
NOが返ってきたらバックトラッキング(おうむ返し)
これを頭の片隅に入れておいてくださいね。
イエスセット話法の注意点
イエスセット話法を効果的に活用するためには、以下の2つの注意点を押さえておくことが大切です。
LINEやメッセージでは効果が薄い
イエスセット話法は主に会話で力を発揮するテクニックです。
文章でのやり取りでは、次のような理由から効果が薄れる可能性があります。
①即時性がない
メッセージだと彼に返事を考える時間を与えてしまいます。
その間に、自分の気持ちや状況を冷静に考えられるので、イエスセットの流れが崩れやすくなります。
②やり取りを見返せる
LINEやメッセージは過去のやり取りを確認しながら返信できるため、不自然な誘導が目立つことがあります。
イエスセット話法の心理学的背景

ここからは、イエスセット話法について心理学の視点から解説していきます。
- 誰が提唱したの?
- なぜYESを繰り返す傾向があるの?
- 日常のなかでもよく起きる現象なの?
気になる方はぜひ読んでみてくださいね。
提唱の背景と研究
イエスセット話法は、心理学者ロバート・チャルディーニによって広く知られるようになりました。
人は小さな『はい』を重ねると、その後も同じように『はい』と言いやすくなる
という心理に彼は注目しました。
ある実験では研究者が被験者に簡単な質問をいくつか順番にして、ほとんどの答えが「はい」になるようにしました。
その後、少し大きなお願いをすると、最初に「はい」と答えた人ほどお願いを受け入れやすかったのです。
この実験から、チャルディーニは「小さな同意の積み重ねが、相手の心を開きやすくする」と考え、イエスセット話法としてまとめました。
脳科学的な仕組み
脳の視点で見ると、イエスセット話法は一貫性欲求(cognitive consistency)と自己認識のバイアスを利用しています。
一度「はい」と答えると、人は自分を一貫した人間だと思いたい心理が働きます。
これによって、次の質問でも無意識に「はい」と答えやすくなります。
身近な事例
イエスセット話法は、普段の生活の中でも無意識に使われています。
- 営業やセールス
「この商品は便利ですよね?」「デザインもいいですよね?」と小さな同意を積み重ねた後に、最終的に購入を促すと成功率が高まります。 - 会議や交渉の場
「この方針は理解できますか?」「この手順で進めるのは問題ないですよね?」と順に同意を得ることで、最後に重要な提案を受け入れてもらいやすくなります。
イエスセット話法でお願い上手な女性を目指そう
イエスセット話法を活用すると、好きな人にお願いをするときの成功率が上がるだけでなく、ポジティブな会話を楽しみやすくなります。
さらに、会話の雰囲気が良くなると、彼に好印象を与えやすくなるメリットもあります。
お願い事をするときはイエスセット話法のことを思い出して、自信を持って彼に甘えてくださいね。
ココロマグネットはいつでもあなたの恋を応援しています。


