ピークエンドの法則とは、何かを思い出すときに、その出来事の「感情のピーク」(感情が一番高まった瞬間)と「エンド」(結末)によって、全体的な評価が決まるという心理学的現象のことです。
会話も弾んだし、間違いなくデートは成功したはず…なのに、なぜか関係が進展しなかった。
思い返しても「失敗した」と感じるポイントはないのに、次のデートに繋がらなかった。
そんな経験がある方は、「デートがパッとしなかった」可能性を考えてみてください。
そして少しだけピークエンドの法則を意識すれば、デートを最高の思い出にして、「また会いたくなる女性」を目指せます。
この記事では、この法則を恋愛に活かす方法や実際の体験談を紹介します。
学術的な背景も解説しているので、専門的な知識もつけたい人はぜひ最後まで読んでみてくださいね。
それでは、ピークエンドの法則を使った心理学的テクニックを見ていきましょう!
ピークエンドの法則を使った恋愛テクニック

ピークエンドの法則は、シチュエーションに応じてピークやエンドを使い分けるのがポイントです。
ここでは、LINEや電話の場合とデートの場合に分けて、それぞれで使えるテクニックを紹介します。
LINEや電話の場合
ピークの作り方:盛り上がりを逃さない
ピークを作り出すためには「盛り上がりを逃さない」ことが大切です。

- それ、めっちゃ面白いね!
- どんな映画なの?
彼が明らかに興味を示してくれたあと、会話を短めに切り上げることで、

もっと話したかったな、また連絡しよう
と彼の中で余韻が生まれます。
ただし、余韻を生み出すために無理に会話を切り上げると、せっかく質問したのに答えてくれない自己中心的な印象を与えてしまう可能性があります。
盛り上がりを残しつつ、次の会話を期待させるような終わり方を意識してみましょう。
エンドの作り方:余韻を残すひと言を添える
会話の締めくくりには、前向きな言葉をひとつ加えるのが効果的です。

- 今日も楽しかったな。また話そうね?
- 〇〇くんと話してるとずっと笑ってる気がする
こうした言葉は、彼にも楽しかったと自覚させながら自己肯定感を高めることができます。
自分と話すと楽しいと言われて嬉しくない男性はいないでしょう。
いつもこんな風に言ってくれる女性とは、また話したくなるはずです。
デートの場合
ピークの作り方:事前に仕込む
デート中のピークには、事前準備が欠かせません。
彼の好きそうなお店や珍しいお店を探しておいて提案することで、デートを楽しみにしていたことも伝わります。
どうしても何もない場合、ちょっとしたサプライズを仕込んでおくのがおすすめです。

この前〇〇くんが好きそうなお菓子が売ってたの!
とプレゼントを用意しておきましょう。
あまり高価なものや大きすぎると彼の負担になるので注意が必要です。
お返しを気にしなくていい程度のプチギフトを贈ることで、一緒にいない時間も彼のことを考えていたことが伝わります。
エンド:別れ際の言動には細心の注意を!
デートの別れ際の一言は、その日のデートの印象がひっくり返るほど重要なカギを握ります。
正直イマイチだったとしても

今日もすごく楽しかったよ!いつもありがとう
と伝えることで、

あれ、今日のデートも楽しかったんだ。それならよかった…
と彼を安心させることができます。
さらに、記憶が薄れてきた頃に楽しかったデートとして刷り込まれる可能性もあります。
別れ際には
・「楽しかった」の一言
・その日のお礼
・笑顔で別れる
この3つを忘れないように注意しましょう。
体験談〜楽しいデートにするためのちょっとしたコツ〜

これは私自身の体験談です。
私は大学時代に同級生のJ君と付き合っていました。
お互いに暇はあるけどお金はない。
そんな事情もあって、会う頻度は高いけれど内容はいつも同じ、完全に習慣化したデートばかりになっていました。
当時心理学や恋愛心理学に夢中だった私は、ピークエンドの法則を知って「これだ!」と思いました。
とはいえ、特別なことにお金をかける余裕があるわけでもなく…。
そこで思いついたのが、夜のイオンに彼を連れ出すことでした。
ゲームセンターデートをしたことのない私たちでしたが、無性にやりたくなった「太鼓の達人」にチャレンジすることに。
私はピアノを長くやっていたこともあり、リズム感に少し自信があったんです。
しかし、彼は序盤から「思ったより激しく叩くね」と爆笑。
私も彼のぎこちない動きにツボってしまい、大笑いしながらゲーム終了。
意外なことからお互いに新しい発見がありました。
きっかけはちょっとした変化でしたが、それ以降、彼もデートプランを考えたり前向きになってくれた気がします。
特別感は少ないかもしれませんが、逆に特別すぎないデートだったからこそ、デートの選択肢が広がったように思います。
ピークエンドの法則の心理学的背景

ここからは、ピークエンドの法則について心理学の視点から解説していきます。
- 誰が提唱したの?
- なぜ私たちは「終わり」や「ピーク」の記憶を強く残すの?
- 日常のなかでもよく起きる現象なの?
気になる方はぜひ読んでみてくださいね。
提唱したのはノーベル賞を受賞した心理学者
ピークエンドの法則を提唱したのは、アメリカの心理学者「ダニエル・カーネマン」です。
彼は「行動経済学」の分野で活躍し、2002年にノーベル経済学賞を受賞したことでも知られています。
この法則は、彼と同僚のエイモス・トベルスキーとの共同研究から生まれました。
彼らは
人間の記憶は、その出来事全体を平均的に思い出すわけではない
という仮説を立てました。
そして、その検証のために行われたのが、「冷水実験」です。
実験で明らかになった人の記憶のクセ
この実験では、被験者に手を冷たい水に浸けてもらうというシンプルな方法が用いられました。

この2パターンの体験を比較してもらったところ、多くの人が「後者のほうが楽だった」と回答したのです。
どちらも最初の60秒間は同じ苦痛なのに、「終わりが少しマシだった」だけで全体の印象が良くなる。
これが、ピークエンドの法則の根拠となった実験です。
なぜ脳はピークとエンドを記憶しやすいの?
脳の記憶の仕組みには、いくつかのクセがあります。
特に「感情が大きく動いた瞬間」や「区切りのよい場面」は、海馬や扁桃体といった脳の部位が関与して、長期記憶として残りやすいといわれています。
たとえば、楽しかった旅行のことを思い出すとき、移動時間や休憩中の記憶は曖昧でも、「絶叫マシンで叫んだ瞬間」や「夜の花火を一緒に見たあとの帰り道」は、はっきり思い出せたりしませんか?
このように、脳は「最も印象的な場面」と「終わり」に記憶を集約するクセがあるのです。
実は日常でもよく起きている
ピークエンドの法則は、特別な出来事だけでなく日常の中でも働いています。
たとえば、
・映画のストーリー全体より「クライマックスの感動」や「最後の展開」で評価が変わる
・レストランでの食事で、ご飯が微妙でも「デザートがおいしかった」だけで全体の印象がよくなる
・新入社員の第一印象はあまり良くなかったのに、気の利く一言で一気に印象が良くなる
こんなふうに、私たちの記憶や評価には偏りがあります。
これは決して「記憶力が悪い」という話ではなく、人間に備わった自然な性質なのです。
ピークエンドの法則を活用して恋愛上手に
ピークエンドの法則は、知っていると少し気持ちが楽になるテクニックです。
一緒にいる時間すべてを楽しいものにしようと頑張る必要がないとわかるからです。
なんとなくデートがうまくいかないと悩んでいるときには、全部を特別にしようとする必要はありません。
大事なのは、1回のデートの中で盛り上がりと余韻を用意することです。
少しだけドキドキしたり笑えたりする瞬間が作れるように、意識してみてくださいね。
私はいつでもあなたの恋を応援しています。